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ひと夏の恋……そして……
第23章 友情と愛情と絆

「でも、まさか夏樹が民宿をたたむとは思わなかったよ」
「それ、私も聞いた時は驚いた。けど夏樹らしいて思っちゃった」
「理由を聞けばね」
視線を集めた夏樹は、恥ずかしそうに髪の毛を掻きながら視線を外した。
リゾート開発が本格的に進もうとした時、夏樹は民宿をたたむと言い出した。
内装も外装も自分で手掛けるんだとはりきっていたのにと驚いた。
『俺は真緒とずっと一緒にいたいんだ。俺が民宿、真緒が店を続けるならすれ違いになる。そんな暮らしは耐えられないと思ったんだ。両親も歳だし民宿を続けるなら人も雇わなきゃならないし、今までみたいにのんびりやっていけない。そう考えたら民宿をたたんで真緒と店をやって良くのもいいかもしれないって思ったんだ。――店でも家でも一緒に過ごすのはイヤか?四六時中一緒はイヤか?』
そんなことを言われて嫌だとは言えなかった……ううん、言いたくはなかった。
私も同じ気持ちだったから、考えるより先に頷いていた。
だからソンちゃんの代わりに夏樹が厨房に入り、私が店に出ることにした。
そして、時間があれば和泉が顔を出して、こんな風に語りあっている。

