この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
「あまり身体を出すなよ」
窓の外に顔を出して潮風を感じていると、夏樹はいつものように子ども扱いする。
「また子供扱いして、そんなの分かってるよ」
少し膨れながら窓を閉めてシートに身体を埋めると、窓を閉めるとすかさずエアコンが入り、今度は心地よい冷気が身体当たる。
「夏樹ってこんな音楽聞くんだ」
窓を閉めれば社内に流れる音楽に気がついた。
夏の海だからアップテンポの音楽かと思えば、緩やかな、しっとりとした音楽だった。
「ああ、これ?Wirbel(ヴィアベル)ってグループ。って知り合いの曲なんだよな。まだメジャーデビューしてないけど。いい曲だろう?」
そう言いながらボリュームを少し上げる。
透き通ったという表現が一番いいのか、そんな声質持つ歌声に私もはまった。
なんでも大学内では有名なグループらしい。
色々な事務所からオファーがかかっても「事務所に入れば自分の歌が歌えないから今のままがいい」と言ってその話を断っていると言う。
それを聞いて、とても大人だなと思った。
私だったら絶対に事務所に入って有名になりたいと思うから。