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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に

「あまり身体を出すなよ」

窓の外に顔を出して潮風を感じていると、夏樹はいつものように子ども扱いする。

「また子供扱いして、そんなの分かってるよ」

少し膨れながら窓を閉めてシートに身体を埋めると、窓を閉めるとすかさずエアコンが入り、今度は心地よい冷気が身体当たる。

「夏樹ってこんな音楽聞くんだ」

窓を閉めれば社内に流れる音楽に気がついた。
夏の海だからアップテンポの音楽かと思えば、緩やかな、しっとりとした音楽だった。

「ああ、これ?Wirbel(ヴィアベル)ってグループ。って知り合いの曲なんだよな。まだメジャーデビューしてないけど。いい曲だろう?」

そう言いながらボリュームを少し上げる。
透き通ったという表現が一番いいのか、そんな声質持つ歌声に私もはまった。
なんでも大学内では有名なグループらしい。
色々な事務所からオファーがかかっても「事務所に入れば自分の歌が歌えないから今のままがいい」と言ってその話を断っていると言う。
それを聞いて、とても大人だなと思った。
私だったら絶対に事務所に入って有名になりたいと思うから。



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