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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に

「夏樹は、大学楽しい?」

そのまま、夏樹の大学の話に変わった。

「それなりに?勉強とバイトの毎日で遊んでる暇ないよ」

「彼女とかいないの?」

「いるわけないよ。で?真緒は?彼氏とかいないのか?」

山道に入り、くねくね道を運転しながら、今度は私が質問される。
彼氏……そんな人いるわけもなく正直に答えた。

「私?いないなぁ……」

「いないのか、もったいないな。かわいいのに」

かわいいの一言に、なぜか心がキュンとした。
今までも何度もかわいいと言われていたのに、初めて心がザワザワとした。
そのザワザワを知りたくて、ちらっと夏樹の横側を見たら、さらにキュンとして一層ザワザワした。
心臓がドキドキし始めて、今までにない感覚に戸惑った。

「どうした?」

私の視線に気がついたのか、夏樹がチラリと私の方に視線を向けた。
一瞬だけど目が合ったと思う。
その瞬間に目線を反らして外の風景に視線をやる。
山の中で何か見えるわけでもない。
それでも、どこを見て良いか分からない私は外を見たままだった。



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