この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
「真緒、ここからは目をつぶって」
目の前が少し明るくなったと思ったら夏樹はそんなことを言う。
「え~~つぶったら歩けないよ」
「大丈夫大丈夫。手をひいてやるから」
夏樹はそう言いながら私の手を握った。
暖かい温もりが私の心も熱くさせる。
「ほらっ。目をつぶって。ゆっくり歩くから怖がるな」
ドキドキして少し涙目になっている私の様子に、夏樹が怖がっているだけだと思っているようだった。
この数分で夏樹への気持ちに変化があったことなんて気がついていない。
「ほらっ早く!!」
私の思いなんて気がつかずに夏樹は私を急かす。
この握られた手を離したくなくて私は目をつぶった。
それを確認すると夏樹は私の手を引いて歩き出し、石や木の根につまづかないように足を大きく上げて、見えない恐怖からか腰が引けてるのが自分でも分かる。
カッコ悪い姿だと分かっていても、私は目をつぶったまま夏樹に全てを任せていた。