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ひと夏の恋……そして……
第4章 未来への第一歩
「ねぇ、Wirbel(ヴィアベル)の曲ってまだ聴いてる?」
昔のことを思い出すと決まって思い出す曲がある。
車の中や夏樹の部屋の中でいつも聞いていた曲。
そして、私が初めてを――......
「んっ?あの曲な......最近は聴いてないな」
昔の記憶を手繰りよせながら聞けば、夏樹の顔が曇ったように見えた。
そんな表情をさせてしまうのは私のせい。
私が夏樹を裏切ってしまったせいで、大好きだったこの曲を聞かせなくしてしまった。
その自覚があるだけに、少し前を歩く夏樹の手を取って言葉にする。
「ごめんね」
私の言葉に一瞬だけ驚いた顔を見せたけど、すぐにいつもの表情に戻り、繋いだ手に指を絡めてきた。
「だからもう気にするなって」
夏樹はそう言ってくれるけど、私が夏樹にした仕打ちは決して許されることではない。
あれだけ私のために色々として助けてくれたのに、一番最低なやりかたで傷つけてしまった自分が許せなかった。
こんな私が夏樹とつきあっていいのかと迷う部分でもある。