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ひと夏の恋……そして……
第4章 未来への第一歩
「だから捨てられなかったんだ。真緒との楽しい思い出の方が多かったから捨てられずにしまいこんでた。それを一緒に聴けるようになってうれしんだ――だから前に進まないか?お互いの幸せのためにも」
「幸せのため……」
「そうだ。前にも言ったよな。過去に囚われて俺の事を切り捨ててくれるなと。少しでも気持ちがあるのなら過去に囚われるんじゃなくて未来を共にしないか?この曲とともに」
この言葉が私を悩ませていた。
傷つけてしまった私が夏樹と一緒になってもいいのかと。
だけどWirbel(ヴィアベル)の曲を聴いて、辛いだけだと思っていた曲も夏樹と一緒に聴けば楽しい思い出も蘇り、どんな時でも変わらず傍にいてくれた夏樹の存在を思い出させてくれた。
どんなに傷つけても最後には私に手を差し伸べて守ってくれた。
誰も味方がいない時でも、全てから私を守ってくれたのは間違いなく夏樹だった。
そんな夏樹を今度は私が守って支えてあげたい、この笑顔を今度こそ曇らせたくないと強く思う事ができた。
それが私の出した答え。
――もう……いいよね。もう待ってなくていいよね……
ここにはいない彼に問いかける。
これが決別。
5年待っても現れなかった彼への別れの言葉……
そして――