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ひと夏の恋……そして……
第4章 未来への第一歩
状況を察してくれた夏樹は何も言わずに家まで送ってくれた。
夏樹の家から私の家までは歩いて15分足らず。
走っても10分と掛からない距離で、家に着いた時には真和が網戸越しに私が戻ってくるのを待っていた。
「ママ!!!」
私を見つけた真和は急いで階段を下り、私に抱きついて泣き出した。
「真和!ごめんね。一人にしてごめん」
5歳と言っても、夜をひとりで過ごすなんて無理な事。
目を覚まして私がいなくてどんなに心細かっただろうと思うと強く……強く抱きしめていた。
「ママっ、痛いよ……ボク、潰れちゃうよ」
力強く抱きしめすぎて、真和が私の腕の中でもがいているのに気がついて急いで腕の力を抜いた。
「あっ!なつ兄ちゃんだ」
私の後ろにいる夏樹に気がついた真和は涙の痕を残したまま笑顔になった。
「なんでなんで??なんでなつ兄ちゃんもいっしょなの???」
無邪気な笑顔で聞かれ、夏樹と顔を見合わせて苦笑い。
間違っても本当の事は言えず口ごもる。