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サディスティック・マリッジ
第8章 最強の独占欲
琉が起き上がり、手錠の鍵を拾った。

カチャッ
数時間振りに解放された右手を、愛里咲は左手で包み込む。

望んでいた事なのに何処か寂しい気がして、愛里咲は琉を見つめた。


「……何? まだ繋がれてたい?」

同じように愛里咲を見つめた琉と目が合い、その口元が意地悪く歪む。

愛里咲は慌てて首を横にブンブン振った。


「あー…愛里咲のブラウス、破いちゃったんだった」

少し気まずそうに琉が言い、下着姿の愛里咲の頭にTシャツを被せた。


「……ご飯、勝手に作っていい?」

「あ? ああ」

Tシャツに袖を通した愛里咲は、キッチンへと向かった。


先輩社員の佐藤と外で済ませる事は多いが、たまには自炊もする琉らしく、冷蔵庫には食材が多少入っていた。

愛里咲は手早く二人分の朝食を作った。


シャワーを浴び終えた琉が席に着く。

「……まあまあだな」

「またそれだ!」

今朝は大したものは作っていないが、愛里咲の料理を食べる度に琉は”まあまあ”だと評価する。


早くに親を亡くした愛里咲は高校時代から自炊をしているが、まだまだ琉の認める味には遠いようだ。

(まぁ、マズイって言われないだけマシか……)

何処と無く口元を綻ばせ朝食にガッツく琉に、愛里咲の口元も嬉しそうに綻んでいた。



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