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第9章 内緒の結婚生活

琉と愛里咲が戻ると、何やら部署内が騒がしかった。


「お茶どうぞ〜」

愛里咲がやりかけていたお茶出しを、なんと津川がご機嫌にやっていた。

受け取る男性社員は、引き攣った笑みを浮かべ、困ったように受け取っていた。


「つつ津川さんッ、私やります！」

伊藤が慌てて代わると言っても、津川はご機嫌で断る。

「あんたがやらないからよ‼︎ 」

困り果てた伊藤は、愛里咲に怒鳴った。


「すみません…あの…っ…私やります」

おずおずと、津川に向けて愛里咲が手を差し出す。

「いいのよ」

満面の笑みで振り返った津川。
愛里咲は違った意味の恐怖で固まった。


「琉くん奪っちゃってごめんね」

津川は愛里咲にそう耳打ちすると、いそいそと琉の元へと駆け寄って行った。