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サディスティック・マリッジ
第10章 お局様ご乱心
椅子を奪われた佐藤が困ったように見つめる先───…、

「琉くぅん、あのねぇ……」

琉の隣の佐藤の席を陣取り、掴んだ琉の腕を股に挟み、更に胸を押し付けて甘えた声を出す津川。


(たかがキスくらいでここまで暴走するとは…)

愛想笑いも忘れ、琉は呆れ返っていた。

股に挟まれた腕を抜こうと少しでも動かせば、

「あぁんっ、琉くぅん、だめぇ」

安っぽいAV女優のような声を上げる津川。

既に抵抗する事すら面倒だ。


ふと、視線を感じて顔を上げる。

遠くの席で、泣きそうな顔をしている愛里咲。

目が合うと、愛里咲は慌てて目を逸らした。


(あの顔が見れるなら、このおばさんの暴走も無駄じゃないよな)

琉は、愛里咲の泣きそうな顔が見たくて、敢えて津川の暴走を止めないでいた。
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