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サディスティック・マリッジ
第10章 お局様ご乱心
(なん…だ?)

走り去る愛里咲を目で見送りながら、琉の視界がグラリと歪む。

そのまま傾いていく琉の身体を、津川が抱きとめた。


「琉くぅん、大丈夫ぅ?」

津川は嬉しそうに琉の身体を抱きしめ、琉を床へとそっと寝かせた。

(…すげー眠い……あのお茶…まさか……)

瞼が重くなり、琉の意識が遠くなる。


「こんなに早く効き目が現れるなんてね。あの女をとっとと遠ざけて正解だったわ」

床に横たえた琉の身体を、愛おしそうに抱き締める津川。

先程の冷茶の中に、津川は睡眠導入剤を混ぜていた。

琉は完全に落ち、静かな寝息を立てている。


「かわいい…」

津川は琉の唇を舐める。


(この唇に奪われたの)

琉が愛里咲を泣かせたいがためだけにした津川へのキスに、津川は本気になっていた。

自分がバラされたくなければキスしろと迫った事も忘れて、琉は自分に気があるのだとのぼせていた。

既成事実を作ってしまえば、夢だった幸せな結婚生活が待っていると、津川は本気でそう思っていた。


「琉くぅん、幸せになろうね♡」

津川は琉の唇に、自分の唇を重ねた。

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