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サディスティック・マリッジ
第10章 お局様ご乱心
資料の片付けに手間取っていた愛里咲。

資料室から戻ると愛里咲の鞄は外に放られており、オフィス内の電気は消され鍵を締められていた。

(嘘っ……先帰っちゃったの⁈ )
鞄を拾い、急いでエレベーターへ向かう愛里咲。

(最悪! エレベーター止まってるし‼︎ )

仕方なく、愛里咲は階段をトボトボ降り始めた。

(琉ちゃん、津川さんと帰っちゃったのかなぁ)

琉の携帯に電話するも応答はない。


「あ、愛里咲ちゃん、お疲れ!」

残業の多い愛里咲は、守衛ともすっかり顔見知りだ。
30代前半の秦野と、50代半ばの藁科が今日の当直らしい。

「お疲れ様です」

階段で息を切らしながら、愛里咲は答える。

「ごめんね、エレベーター点検中で止まっちゃってて」

藁科は苦笑する。

「ダイエットにちょうどいいです」

愛里咲は呼吸を整え、笑顔で答える。

「いやいや、愛里咲ちゃんにダイエットは必要ないでしょ」

秦野が笑う。

愛里咲はしばらく、2人との立ち話に花を咲かせていた。

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