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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第23章 第四部 小さな狭い部屋で
「あ、それ、かけますね」
 ハンガーを出し、ジャケットを手に取るとする芳香の手を薫樹は握る。

「あ、あの」
「芳香」
 グイッと引っ張られ芳香は薫樹の胸元に抱かれる。ふわっと香りに包まれながら、唇も包み込まれ甘い口づけが交わされる。
「あっ」

 薫樹は芳香のカットソーをブラジャーごとめくり上げ、胸の間に顔をうずめる。

「あ、やっ、い、きなり、だ、だめ」
「なんだか今日は待てない」
 いつもよりも力強く両乳房を揉みしだかれ、つんと張り詰めた乳頭を舐められ甘噛みされると芳香の腰の力が抜けてしまった。

「あ、んん、だ、だめ……あ、ん」
 部屋に怪しい香りが立ち込め始める。狭い部屋はセクシーな麝香の香りで満ちてきた。

「これは……たまらないな」
 散々乳房を弄んだあと、薫樹は芳香のスカートに手を入れパンティーをはぎ取る。

「あ、え? え?」
 芳香はいきなりの愛撫と珍しく強引な薫樹に戸惑いを隠せない。
「いいものがある」

 パンティーを脱がせた後、薫樹は引き出物の中から、小さな箱を取り出した。
「これも清水君が香り付けしたものらしいよ」
「え、そんなものが……」
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