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独り暮らし女性連続失踪事件
第6章 奪還
「ご苦労だった。残念ながら一名の尊い命が奪われてしまったが、監禁されていた六名を全員無事に救出し、吉野ら、この件に関わった者を一人残らず逮捕することが出来たのは、みんなの頑張りによるものだ。ありがとう」
署長からねぎらいの言葉に続き、横田副署長が前に立った。
「しかし、この事件はこれで終わりではない。被害にあわれた方の心の傷は簡単には癒えない。マスコミに付きまとわれ、社会の好奇の目に曝されるリスクを背負っていかなければならない。
県警本部でも十分な対策と取って頂くが、我が署管内で起きた事件であるから、マスコミ各社はこれからも記事ネタを探し廻ると筈だ。私が主管となるので、気になる動きがあれば報告すること。
それから、言わずもがなだが、発言には十分に気を付けること。守るべきものはプライバシーだ。以上」
署内では日本酒やビールで互いの労をねぎらう声が溢れていた。
「副署長、これからですね」
「その通りです。飯田先生も大沢君も普通の生活を取り戻すのは、並大抵のことではない。我々も可能な限り支援してあげたいと思います。坂田さん、よろしく頼みます」
「はい、そのつもりです」
しかし、まずはあの男を説得しなくては…横田副署長は酒を飲みながら、そんなことを思っていた。