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独り暮らし女性連続失踪事件
第7章 守るべきもの
「ちょっと聞いていいかな?」
「遠慮するなんて村ちゃんらしくないね」
「いや、これは今後守らなくてならないプライバシーだからね。それに個人的な興味でもあるから」
「いいよ、二人のことだろう。先生は被害者として裁判に呼ばれるから、一年間は教育委員会所属として研究員の身分、まあ、じっくり体も心も休めるためだ。だから、退職は取り消しになるよ。記録上も抹消だ」
「そうか、それはよかった。」
「少年は夏休みが終わるまで休学だ。精神的なケアが必要だから、しょうがないよな」
「彼も大変だったからゆっくりと休ませてあげないとな」
「うん、そうだ。秋には交換留学生として海外に行く。一年間休学になるから、卒業は一年遅れるが、大学は留学経験を活かして推薦入学させることも校長は考えているらしい。それから、留学までは根本が個人的に勉強を教えるんだとさ。あいつらしいよ。」
「それがあいつの〝守るべきもの〟だね。先生にしておくのがもったいないな」
「いや、天職だって言ってたよ。ははは」
部屋を出て行こうと田村が立ち上がると、横田が声を掛けた。
「村ちゃん、久しぶりに一杯行くか?」
「いいね、横ちゃん」
まだ日は高いが、飲めることはいくらでもある。それに時間もたっぷりあるから、酔っぱらって腰が抜けてしまうか?
その時は、警察の道場に布団を敷けばいい。いい夢が見れるの違いない。
(了)