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独り暮らし女性連続失踪事件
第7章 守るべきもの
「横ちゃん、気持ち悪いな」
「そうかな、いつもと変わらないがね」
副署長の表情が引き締まった。
「日に当てない方がいい場合もある。破傷風なんか、そうだね」
「取材メモが破傷風菌になってしまうか…まあ、そういうことかな。分ったよ。ばい菌は焼却しよう」
「加藤のところからハッキングした写真は?」
「そんなものはないよ。悪党は証拠を残さないが、素人は珍しいものを手元に置きたくなるから、証拠はそこにしかないと思って、ハッタリをかませたんだよ」
「吉野もハイエナには敵わなかったのか」
「横ちゃんも俺のことをそう言うのか?」
「それも勲章だろう、村ちゃん」
「ははは、そうだな。一本取られたな。いいよ、横ちゃんが望むように全て廃棄するから」
「村ちゃん、助かるよ」
「しかし、何か横ちゃんの独り言が欲しいな。それも連載企画が作れるようなものがいいな」
「独り言ねえ…、うーん、好みがあるけど、見繕ってみるかな。ははは」
「決まりだな」
窓の外では初夏の日差しを浴びた山並みの新緑とあじさいの緑の組み合わせが目に眩しく輝いている。
「いい季節だね」
横田副署長は窓の外に目をやった。