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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠
≪ターゲット≫

三月初め、午前六時。まだまだ朝はかなり冷え込む

「先生、おはようございます」
「おはよう、誠君。寒いわね」
「サニー、おはよう」

サニーはクリーム色のきれいな毛並みをしたレトリーバー種の二歳の雄犬で、絵美のボディガードでもある。

「サニーは誠君がお気に入りみたいね。ほら、しっぽを振って喜んでいるわよ」
「ははは、サニー、おいで。先生も、さあ行くよ」
「はいはい、行きましょう」

カシャカシャ

二十メートルほど離れた所に駐車していた黒いワンボックスカーの中から、絵美の姿を写真に納める者たちがいた。

「おい、あの女か?」
「はい。名前は飯田(いいだ)絵美(えみ)、県立高校の先生。バツ一で犬好きの独り暮らしだそうです」
「地味な女だな」
「ええ、何の特徴もない地味な女だそうですが、獣医の加藤さんの見立てでは、お尻がどっしりした、あんな体つきがいいらしいそうです」
「そうか、分った。ところで隣にいるあいつ誰だ?」
「朝の散歩仲間らしいですよ。あの女と気が合うらしく、毎朝、犬の散歩に付き合ってますよ」
「まあいいや。じゃあ、吉田ケンネルに行こう。加藤さんと相談だ」

ワンボックスカーは郊外に向かって走り出した。

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