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独り暮らし女性連続失踪事件
第2章 罠

「ねえ、お茶でも飲んでいかない?」
「先生、いいの?」
「土曜日でしょう。学校ないから、少し休んで行きなさいよ」

絵美は古い一軒家に住んでいた。

「一人だからマンションの方がいいと思うんだけで、サニーが飼えないから、ちょっと古い家なんだけで、ここを借りているの」

2DKながらちょっとした庭があり、そこにサニーの小屋が設けられている。

「コーヒーを淹れたから飲んでね。私、汗かいたから、ちょっとシャワー浴びてくる」

ダイニングの隣が絵美の勉強部屋らしく、扉が開いていたので、中を覗くと教育関係の本に並んで犬の本も沢山並んでいた。

先生の部屋か、撮っちゃおうと、誠がパシャ、パシャとスマホで撮っていると、コツンと頭を叩かれた。いつの間にかシャワーを浴びていた絵美が戻ってきていた。

「あ、ご、ごめんなさい」と誠は慌ててスマホをポケットに仕舞ったが、
「ダメ、写真なんか撮っちゃ勝手に撮るのはエチケット違反よ」と叱られてしまった。

だが、それ程怒っている訳では無く、コーヒーを飲みながら、「犬の本、多いでしょう。誠君と同じ高校生の頃、学校の先生になろうか、獣医さんになろうか迷ったんだけど、数学が苦手だったから、国語の先生になったの」と少し恥ずかしそうに話してくれた。

「そうなんだ」と誠が感心すると、「大沢君も頑張りなさい」と励ましてくれた。ちょっと嬉しい気分だった。
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