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独り暮らし女性連続失踪事件
第6章 奪還
≪刺青≫

「哲也、お前のところは大丈夫か?」

吉野からの電話に哲也は緊張した。

「何か有りましたか?」
「雑誌記者が紛れ込んだのさ。それでな、お前も用心した方がいい。だから、大沢が裏切らないように背中に刺青を背負しちまえ」
「分りました」
「彫允さんに連絡しておいたから、今晩、連れて行け」
「了解しました。」

(そうか、雑誌記者が来たか…
 大沢もいつ学校の先公なんかに喋っちまうか、分らねえからな)

哲也は「誠、ちょっと出て来いよ」と直ぐに呼び出しを掛けた。
「あの、今からですか?もう午後8時を過ぎてますけど」
「出て来いと言ったら、つべこべ言わねえで、さっさと出て来るんだよ」
苛立っている。断ったら、ボコボコに殴られる。
誠は「ノートを買いにコンビニに行って来る」と両親に言い残して、哲也が指定した待ち合わせ場所に急ぐと、「おう、ここだ!」とワンボックスカーから顔を出して呼んでいた。

遅れると殴られる。誠は「す、すみません!遅くなって」と真っ先に謝ったが、「まあ、乗れよ」とドアを開けた。
「悪いな、こんな時間に呼び出して」
「お、遅れてすみません」
「いいんだよ。俺が急に呼び出したんだから」
車が走り出したが、いつもの通りどこに行くか分らない。聞けば殴られるに決まっている。「まあ、リラックスしろよ」と肩を抱きながら話し掛けられたが、誠は怖くてしかたがなかった。

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