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月曜日の秘めごと
第1章 プロローグ

胸中で安堵した。このまま会えなくなってしまわなくて良かった。そう思ってしまった。
補講はとっさについてしまった嘘だ。多分僕は連絡などせず、また来週ものこのこ会いにきてしまうだろう。
「雨、まだ降ってる。七月に入ったのに、いつまで梅雨は続くのかしら」
「本当にね」
玄関で見送られ、僕は彼女が住むアパートをあとにした。新しそうな綺麗なアパート。2LDKのーー男の痕跡がちらちらと見える、僕の大学とバイト先からも近い、いつもセックスする場所。
早足で近くの信号まで歩き、赤色に足止めをくらいながら空を見上げた。晴れ間はない。しばらく雨は止まないだろう。
どうして僕は湊の家に行くのをやめられないんだろう。
梅雨空を見上げながら、初めて彼女を見かけた日のことを思い出していた。
五月の半ば。あの日も季節外れの雨が降っていた。

