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月曜日の秘めごと
第1章 プロローグ
湊もほっと一息ついた。
重ねたままの手。まるで恋人みたいだなあなんて思い、自然と浮かれた気持ちになる。
だけどそれはつかの間のことで、湊はすぐに立ち上がり、白いブラウスに腕を通しながら、いつものように壁にかけてある時計を見た。
「そろそろ時間ね。また、来週」
さっきまでの姿が嘘のように、あっさりとした物言い。体温の離れてしまった両手が寂しくて、僕は無意識に両手を擦り会わせていた。
そう、湊に会える時間は、昼過ぎから夕方の五時までと決まっていた。しかも月曜日だけ。僕の大学の講義とバイトが無い時間で、なおかつ湊のパートが無い日だけ。
湊には旦那がいるのだ。夜と休日は……会えない。
ーーいや、普通に考えたら、どの時間だって会っちゃダメな人だ、セックスなんてもっての他だ。
それでも彼女は僕を拒まない。
「来週は、もしかしたらダメかもしれない。月曜日の夜に補講が入るかもしれなくて……」
「そう」
残念そうな様子もなく、彼女からはそれだけだった。
胸が締め付けられるような心地になる。
「ダメなら連絡して」
「……うん」