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アンケート御礼小話詰め合わせ(_ _)
第2章 お姉様と一緒(ビスカス・ローゼル)

真珠色の蜘蛛の糸のように、繊細なレース。
幼い頃に遊んだ北の湖の湖畔に寄せる波の泡を思い起こさせる様な、軽やか且つ複雑な模様を描いています。
淡いオレンジの艶々した重厚な絹のリボンは、見ただけでも柔らかな手触りが感じられそうです。
「……なんて、素敵……!見たことが無いくらい綺麗だわ……見事なお品ですわね!」
この地の薄衣とは少々違った美しい織物をうっとり眺め、ローゼルの薔薇の花片の様な唇からは、ほうっと溜め息が漏れました。
「これが、ロゼへの結婚お祝いの贈り物なの。」
「え?」
「どうぞ、広げてご覧になって?」
スグリは、にこにことローゼルを促しました。
「ええ……あ!」
リボンにそっと手を触れて持ち上げると、それはレースの上着であることが分かりました。上着を持ち上げたことで、途中まで付いて来たもう一枚ーーひだをたくさん寄せたレースの何かが箱の中にくたりと優しく崩れ、もう一つ、ひらっと何かが落ち掛けました。
「お姉様っ……これっ……!?」
レースはともかく、ひらっと落ちた何かを掌で反射的に受け止めたローゼルは、心もとない程の軽さの柔らかな感触に、ぎょっとしました。
「これはね。今、都で今流行している『お化粧着』って言う物なのよ」
「……お化粧着、っ……」
「このお化粧着ね、私と色違いの、お揃いなの。」
手にしている「お化粧着」の羽根の様な柔らかさと、まるで内緒話か睦言かの様なスグリの囁きで、ローゼルは全身真っ赤になりました。

