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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第5章 5日目
それにしても…
夢の中の和裕君は、妹を桃香と呼んでいた。しかもあの子の顔…ももちゃんに、そっくりだった。

バカバカしい…僕は苦笑いした。
そんな偶然あるわけない。何度も抱いて、ももちゃんの事が好きすぎて、夢の少女が彼女の顔と名前になったんだ。たかが夢だ。
そもそも、僕は和裕君の妹の名前を知ってたかどうか、記憶にない。

その時、視線を感じた。ももちゃん?
振り返ると、ずっと向こうの庭の端に、女性がひとり立っていた。

僕はその姿に不自然なものを感じた。
黒いワンピース。長袖で、首元もぴったり閉じられている。裾の丈は、足首まである。この熱い時季に…
葬式でも、もう少し涼しい服装をするだろう。
ツバの広い黒い帽子。黒いサングラス。

彼女はじっと、こちらを見ているようだった。
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