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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第7章 7日目
まだ幼い少女ふたりが、お互いを思いやり、生死の決断をこんなにも迷いなく、きっぱり下している。
僕は何も言えなかった。
あまりにも身勝手な自分を恥じた。
ももちゃんと離れたくないなどと言う資格はない。
これはももちゃんと彩ちゃんの問題で、僕はただの傍観者に過ぎないのか。

「わたしね、すごく幸せだよ。だって本当は、お兄ちゃんに会いたくても会えなくて、ずっとずっと、ひとりぼっちだったんだよ」
「ももちゃん…」

「でも今は、お兄ちゃんがこんなに愛してくれる。わたしのホントのこと知っても」
「関係ないよ。ももちゃんはももちゃんだ」
「わたしより彩ちゃんの方が、ずっとかわいそうなんだよ。お友達を助けたいって思うの、当たり前だよね」

覚悟を決めたももちゃんは、美しかった。
わずかな時間で成長したようにも見えた。

ももちゃんの最後の大切な時間を、僕の悲しみなんかで曇らせてはいけない。
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