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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
…運命の恋か…。
今朝方の黄の言葉を思い返しながら、宮緒は黄浦江を下に見る窓辺から離れ執務机に座った。
…あれは、運命の恋に成り得たのだろうか…。
思い浮かぶのは由貴子のあの美しい京雛のような白く嫋やかな美貌…そしてあまりにも艶めいた薫り立つような姿態…そして宮緒を酔わせた仄かな白檀の薫り…。
あの嵐のような…甘美な夢のような一夜は今だに思い出すたびに宮緒の胸を甘狂おしく鷲掴みにする。
…しかしそれは僅か数週間前の出来事と思えぬほどに遠い…。