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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
「…由貴子さん…」
愛おしいひとの手を引き寄せ、握り締める。
「…私を…作り変えて…。私の…何もかもを奪い去って…」
その白い手に唇を押し当てる。
「…いいの?僕の恋人になってくれるの?」
「…私こそ…。
私は八つも歳上よ。もう若くないわ…」
愁いを帯びた表情の由貴子の手を強く握り返す。
「構わない。今の貴女が好きだ」
「…子どももいるわ。世界一大切な…。
申し訳ないけれど、貴方は二番目だわ」
控え目に…けれどきっぱりと答える由貴子に微笑む。
「僕は子どもを一番に考えるお母さんが好きですよ。
…お嬢さんは?お話しになったのですか?」
由貴子が柔らかな母の眼差しになる。
「ええ。話したわ。あの海の町に、娘に会いに行って…。
…ママはあるひとに恋をしてしまったの…。
どうしてもそのひとに会いに行きたいのだけれど、許してくれる?…と」
「…そうしたら?」
どきどきしながら答えを待つ。
「…瑠璃子は…娘は嬉しそうに笑ってくれたわ。
…ママ、会いに行って。
ママは今までずっと誰かの為に生きて来たよね。
パパの為、私の為…。
私はもう大丈夫だから、これからは自分の為に生きて…て」
慈愛に満ちた母親らしい眼差しが涙で光る。
「…すっかり母親離れして…。
大人みたいな表情だった。嬉しかったわ…」
「そう…。良かった…」
ほっと胸を撫で下ろす。
…由貴子がやや艶めいた表情で口を開く。
「…それから…私も今大好きな人がいるからママの気持ちがすごく分かるよ…て言っていたわ。
毎日そのひとのことばかり考えてるから…て。
恋をしているのね、あの子…」
「…へえ…。好きなひとか…」
…まだ中学生だと聞いたけれど、そんな年頃なんだな…。
ふと、その娘は澄佳の家から学校に通っていることを思い出した。
…そうだ。
僕と澄佳さんの関係を言わなくては…と改まった様子で口を開きかける。
「…あのね、由貴子さん。
…貴女に話さなきゃいけないことがあるんだけれど…」
…視線を落とすと…腕の中の由貴子は瞼を閉じ静かに寝息を立てていた…。
「…眠ったのか…」
…激しく愛しすぎたかな…。
宮緒の胸に温かな泉のような感情が湧き上がる。
「…おやすみ、由貴子さん」
…起きたら話せばいい…。
これからはずっと一緒なのだから…。
宮緒はそっと、眠り姫のように眠る由貴子に優しくキスをした。
愛おしいひとの手を引き寄せ、握り締める。
「…私を…作り変えて…。私の…何もかもを奪い去って…」
その白い手に唇を押し当てる。
「…いいの?僕の恋人になってくれるの?」
「…私こそ…。
私は八つも歳上よ。もう若くないわ…」
愁いを帯びた表情の由貴子の手を強く握り返す。
「構わない。今の貴女が好きだ」
「…子どももいるわ。世界一大切な…。
申し訳ないけれど、貴方は二番目だわ」
控え目に…けれどきっぱりと答える由貴子に微笑む。
「僕は子どもを一番に考えるお母さんが好きですよ。
…お嬢さんは?お話しになったのですか?」
由貴子が柔らかな母の眼差しになる。
「ええ。話したわ。あの海の町に、娘に会いに行って…。
…ママはあるひとに恋をしてしまったの…。
どうしてもそのひとに会いに行きたいのだけれど、許してくれる?…と」
「…そうしたら?」
どきどきしながら答えを待つ。
「…瑠璃子は…娘は嬉しそうに笑ってくれたわ。
…ママ、会いに行って。
ママは今までずっと誰かの為に生きて来たよね。
パパの為、私の為…。
私はもう大丈夫だから、これからは自分の為に生きて…て」
慈愛に満ちた母親らしい眼差しが涙で光る。
「…すっかり母親離れして…。
大人みたいな表情だった。嬉しかったわ…」
「そう…。良かった…」
ほっと胸を撫で下ろす。
…由貴子がやや艶めいた表情で口を開く。
「…それから…私も今大好きな人がいるからママの気持ちがすごく分かるよ…て言っていたわ。
毎日そのひとのことばかり考えてるから…て。
恋をしているのね、あの子…」
「…へえ…。好きなひとか…」
…まだ中学生だと聞いたけれど、そんな年頃なんだな…。
ふと、その娘は澄佳の家から学校に通っていることを思い出した。
…そうだ。
僕と澄佳さんの関係を言わなくては…と改まった様子で口を開きかける。
「…あのね、由貴子さん。
…貴女に話さなきゃいけないことがあるんだけれど…」
…視線を落とすと…腕の中の由貴子は瞼を閉じ静かに寝息を立てていた…。
「…眠ったのか…」
…激しく愛しすぎたかな…。
宮緒の胸に温かな泉のような感情が湧き上がる。
「…おやすみ、由貴子さん」
…起きたら話せばいい…。
これからはずっと一緒なのだから…。
宮緒はそっと、眠り姫のように眠る由貴子に優しくキスをした。