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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
「…まあ、仕方ないですわね。
いずれ分かることでしたし。
…これでリーフォアも諦めが付いたことでしょう」
やんわりと慰められ、宮緒は黙ってコーヒーを啜った。
「…ミスター。つかぬ事をお伺いしますが…」
「うん?」
「そのお方とは、どういうご関係でいらっしゃいますの?
…少し年上のお方のようですが…まさか不倫…」
「それはない」
素早くミズ・李の言葉を遮る。
「彼女は独身だ。
…僕は彼女にプロポーズするつもりだ」
「まあ…」
ミズ・李は眼を見張る。
「色々込み入った事情があるから、すんなりとは行かないかもしれないけれど…僕は彼女と結婚したいと思っている」
…美しく艶やかで…まるで夜に咲く蓮の花のように高貴なひと…。
あのひとと生涯を共にしたいという熱い思いが今や宮緒の胸に溢れ出ていた。
「それを聞いて安心いたしました」
ミズ・李は大袈裟に肩を聳やかしてみせた。
そうしてその黒縁眼鏡を指先で押し上げながら、ほんの少しの皮肉を混ぜて言い放った。
「昨夜の大階段でのミスターの熱烈なラブシーンは従業員やお客様の中でも持ちきりの話題ですからね。
…けれど、ご結婚されるお相手ならば致し方ありませんわね。
私も眼を瞑ることにいたしましょう」
いずれ分かることでしたし。
…これでリーフォアも諦めが付いたことでしょう」
やんわりと慰められ、宮緒は黙ってコーヒーを啜った。
「…ミスター。つかぬ事をお伺いしますが…」
「うん?」
「そのお方とは、どういうご関係でいらっしゃいますの?
…少し年上のお方のようですが…まさか不倫…」
「それはない」
素早くミズ・李の言葉を遮る。
「彼女は独身だ。
…僕は彼女にプロポーズするつもりだ」
「まあ…」
ミズ・李は眼を見張る。
「色々込み入った事情があるから、すんなりとは行かないかもしれないけれど…僕は彼女と結婚したいと思っている」
…美しく艶やかで…まるで夜に咲く蓮の花のように高貴なひと…。
あのひとと生涯を共にしたいという熱い思いが今や宮緒の胸に溢れ出ていた。
「それを聞いて安心いたしました」
ミズ・李は大袈裟に肩を聳やかしてみせた。
そうしてその黒縁眼鏡を指先で押し上げながら、ほんの少しの皮肉を混ぜて言い放った。
「昨夜の大階段でのミスターの熱烈なラブシーンは従業員やお客様の中でも持ちきりの話題ですからね。
…けれど、ご結婚されるお相手ならば致し方ありませんわね。
私も眼を瞑ることにいたしましょう」