この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
遅めの晩餐は近所にあるフランス租界のこじんまりとした家庭的な上海料理のレストランで摂った。
…あれから二度も濃密に愛し合ったため、すっかり遅い時間になってしまったのだ…。

その店は、まるでフランスの小さな街の可愛らしい一軒家のような洒落た外観の店だが、本格的な上海料理を出す。
六十代のシェフは生粋の上海人で、妻がフランスのブルゴーニュ出身といういかにもユーラシアンな夫婦の作り出す料理と空間はシノワズリでもあり西洋でもあり…フランス租界らしさが溢れていて、宮緒もよく訪れる常連の店であった。
愛嬌のある料理店の妻は由貴子を見て、宮緒に目配せをした。
「こんなに美人な恋人がいたら、誰にも靡かないはずよねえ…」
…宮緒の上海での清廉ぶりを図らずも証明してくれたのだ。


二人は和やかに食事を進めた。
鮑と蟹味噌のスープから始まり、ちょうど時期である上海蟹の卵炒めやあっさりとして上品な海老の塩味炒め、蕩けるように柔らかなトンポーロー、薫り高い蓮の葉に包まれた粽などは日本人の味覚に合った繊細な味で、由貴子もとても喜んで箸が進んでいた。

「どれもとても美味しいわ。
…娘にも食べさせてあげたいくらい…」
そう朗らかに微笑う由貴子は優しい母親の表情をしていた。

「娘さんのこと、気になる?」
嫌味ではなく尋ねる。
宮緒は優しく愛情深い母親である由貴子が好きだからだ。

「…ええ、やはりね…。
一人娘で随分と甘やかしてしまったところがあるから…」
…でも…
と、宮緒を見上げて嬉しそうに笑った。

「…でも、娘には優しくて思いやり深い息子のお嫁さまがいてくれるから大丈夫。
瑠璃子は毎日彼女の美味しい手料理を食べているから、心配はないわ」

宮緒の象牙の箸がかちゃりと白磁の皿の端に触れ、僅かな音を立てた。



/198ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ