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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
宮緒の胸が漣のように波立つ。
…そうだ。
あのことを話さなくては…。
…僕と澄佳さんとの関係を…。
「…あの…由貴子さん…」
言いかけた時、同時に由貴子が嬉しげにその紅い口唇を開いた。
「ねえ。貴方のことをもっと知りたいわ。
私、まだ貴方のことを何も知らないでしょう?
…貴方が何が好きでどんな趣味があるのかとか…。
何でもいいの。
貴方のことをたくさん知りたい。
…たくさん知って…もっともっと貴方を愛したいの…」
最後の言葉は、まるではにかみ屋の少女が懸命に告白しているような風情だった。
宮緒の胸が熱く締め付けられた。
「…ありがとう、由貴子さん。
そうだね。僕のこと…これからゆっくりたくさん話していくよ…」
にこやかに笑い返し、その白絹のように滑らかで美しい手を握りしめた。
…言えない…。
まだ今は…。
…今、こんなにも幸せそうにしている彼女に告げるには、余りに複雑な事情だ。
もしこの話を聞かせたら、由貴子の心を煩わせてしまうに違いない。
澄佳の立場も考慮すると、自分の一存で打ち明けられることではない。
宮緒は慈しみ深い笑みを浮かべ、由貴子の手にキスを落とした。
「…手始めに何から話す?
好きな女優?好きな歌手?好きな映画?好きな本?好きな動物?好きな食べ物?好きなお菓子?
メモの準備はいい?」
由貴子は吹き出した。
「もう…。宮緒さんたら…。
ゆっくりひとつずつにしてね」
美しく幸せそうなその貌を見て、宮緒は自分に言い聞かせた。
…もう少し…。
もう少ししてから話そう…。
よく考えて打ち明けなくては…。
急ぐことはない。
時間はたくさんあるのだから…。
…そうだ。
あのことを話さなくては…。
…僕と澄佳さんとの関係を…。
「…あの…由貴子さん…」
言いかけた時、同時に由貴子が嬉しげにその紅い口唇を開いた。
「ねえ。貴方のことをもっと知りたいわ。
私、まだ貴方のことを何も知らないでしょう?
…貴方が何が好きでどんな趣味があるのかとか…。
何でもいいの。
貴方のことをたくさん知りたい。
…たくさん知って…もっともっと貴方を愛したいの…」
最後の言葉は、まるではにかみ屋の少女が懸命に告白しているような風情だった。
宮緒の胸が熱く締め付けられた。
「…ありがとう、由貴子さん。
そうだね。僕のこと…これからゆっくりたくさん話していくよ…」
にこやかに笑い返し、その白絹のように滑らかで美しい手を握りしめた。
…言えない…。
まだ今は…。
…今、こんなにも幸せそうにしている彼女に告げるには、余りに複雑な事情だ。
もしこの話を聞かせたら、由貴子の心を煩わせてしまうに違いない。
澄佳の立場も考慮すると、自分の一存で打ち明けられることではない。
宮緒は慈しみ深い笑みを浮かべ、由貴子の手にキスを落とした。
「…手始めに何から話す?
好きな女優?好きな歌手?好きな映画?好きな本?好きな動物?好きな食べ物?好きなお菓子?
メモの準備はいい?」
由貴子は吹き出した。
「もう…。宮緒さんたら…。
ゆっくりひとつずつにしてね」
美しく幸せそうなその貌を見て、宮緒は自分に言い聞かせた。
…もう少し…。
もう少ししてから話そう…。
よく考えて打ち明けなくては…。
急ぐことはない。
時間はたくさんあるのだから…。