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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
「由貴子…!」
「その時に貴方に哀しい思いをさせたくないの。
貴方は優しいひとだから、きっと子どもが欲しいと思う自分自身を責めるわ。
…それに…」
…由貴子の優美な貌がふと母親の貌に変化する。
「娘のこともあるわ…。
私はやはり瑠璃子には主人の名前を残してやりたいの。
私の恋で、あの子の人生を変えてしまいたくないの」
由貴子の娘のことを口にされ、宮緒は息を呑む。
「すごく自己中心的なことを言っていると思うわ。
ごめんなさい。
…でも…。娘に私のことで人生を影響されて欲しくないの。
私は貴方と同じくらい…ううん。やはり娘の方が大事なの…」
暫しの沈黙ののち、由貴子は小さく呟いた。
「…酷い女よね…。貴方の優しさに甘えて…。
貴方をとても愛しているけれど…その前に私は母親なの…。
…こんな私は…貴方に愛される資格はあるのかしら…」
宮緒はふっと息を吐くと、由貴子の肩を優しく引き寄せた。
「…言ったでしょう?僕は貴女が子どもを一番に思うところが好きだ…て。
恋に狂い、母性を捨てるひとだったらこんなに愛してはいない」
「…宮緒さん…」
「だから、心配しないで」
そのままか細い身体をそっと抱きしめる。
…白檀の薫りが、宮緒を静かに押し包む。
「…一緒に考えてゆこう。
貴女と僕が永遠に一緒にいられる方法を…。
お嬢さんも幸せになれる方法を…。
焦ることはない。時間はたくさんある」
「…宮緒さん…」
由貴子の白く端麗な美しい貌を両手で包み込む。
漆黒の闇を溶かし込んだようなしっとりとした瞳が宮緒を見上げる。
…この美しい瞳を、哀しみで曇らせてはならない…。
宮緒は心に誓う。
「…それが思いついたとき、僕は改めて由貴子にプロポーズするよ」
「…宮緒さん…」
…ありがとう…と囁いた由貴子のあえかな声は、宮緒の甘やかな…情愛に満ちた口づけにそっと吸い取られていったのだ…。
「その時に貴方に哀しい思いをさせたくないの。
貴方は優しいひとだから、きっと子どもが欲しいと思う自分自身を責めるわ。
…それに…」
…由貴子の優美な貌がふと母親の貌に変化する。
「娘のこともあるわ…。
私はやはり瑠璃子には主人の名前を残してやりたいの。
私の恋で、あの子の人生を変えてしまいたくないの」
由貴子の娘のことを口にされ、宮緒は息を呑む。
「すごく自己中心的なことを言っていると思うわ。
ごめんなさい。
…でも…。娘に私のことで人生を影響されて欲しくないの。
私は貴方と同じくらい…ううん。やはり娘の方が大事なの…」
暫しの沈黙ののち、由貴子は小さく呟いた。
「…酷い女よね…。貴方の優しさに甘えて…。
貴方をとても愛しているけれど…その前に私は母親なの…。
…こんな私は…貴方に愛される資格はあるのかしら…」
宮緒はふっと息を吐くと、由貴子の肩を優しく引き寄せた。
「…言ったでしょう?僕は貴女が子どもを一番に思うところが好きだ…て。
恋に狂い、母性を捨てるひとだったらこんなに愛してはいない」
「…宮緒さん…」
「だから、心配しないで」
そのままか細い身体をそっと抱きしめる。
…白檀の薫りが、宮緒を静かに押し包む。
「…一緒に考えてゆこう。
貴女と僕が永遠に一緒にいられる方法を…。
お嬢さんも幸せになれる方法を…。
焦ることはない。時間はたくさんある」
「…宮緒さん…」
由貴子の白く端麗な美しい貌を両手で包み込む。
漆黒の闇を溶かし込んだようなしっとりとした瞳が宮緒を見上げる。
…この美しい瞳を、哀しみで曇らせてはならない…。
宮緒は心に誓う。
「…それが思いついたとき、僕は改めて由貴子にプロポーズするよ」
「…宮緒さん…」
…ありがとう…と囁いた由貴子のあえかな声は、宮緒の甘やかな…情愛に満ちた口づけにそっと吸い取られていったのだ…。