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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
朱家角の旅行から帰り、再び宮緒は多忙な日々を過ごしていた。

由貴子は中国茶の勉強をしながらも、娘との連絡は欠かさなかった。
1日に何度もLINEを送り、夜はスカイプで貌を見ながら話をしていた。

「あまり頻繁にかけると、ママしつこいって言われちゃうのよね。
今、瑠璃子は恋に夢中で、私どころじゃないみたい」
スカイプを終えた由貴子は苦笑しながら、宮緒の為にお茶を淹れた。
…今夜は茉莉花毫尖茶だ。
よく眠れるようにとの由貴子の気遣いが感じられる。

「…恋か…。お年頃だね。同じ学校の子なのかな?」
白磁の茶器を差し出しながら、由貴子は首を振る。
「どうも違うみたい。大人の男性みたいで、全然相手にしてくれない!て今日も憤慨していたわ。
…まあ、その方が安心だけれども」
母親らしい表情で笑った。
「息子のお嫁さまがとてもしっかりと見てくれるし、良い相談相手になってくれているから助かるの」
「…そう…」
お茶を飲むことに集中するふりをする。
「今夜のお茶もとても美味しいね」
「そう?嬉しいわ。最近は着香の技術も学ばせていただいているの」
由貴子は美しい貌を綻ばせた。

「…そう言えば、瑠璃子がママの恋人とお話ししてみたい…て」
「え⁈」
慌ててお茶を茶托に零す。
「あら、大丈夫?」
由貴子が素早くリネンで拭き取る。
「ご、ごめん。…いや…それはまだちょっと心の準備がいるかな…。
瑠璃子ちゃんに嫌われたら困るし…」
…瑠璃子と話すと澄佳との接点も増えてきそうだ…。

由貴子は可笑しそうに笑った。
「貴方を嫌う女の子なんていないわ。
…貴方はとてもハンサムだし優しい紳士だし…」
由貴子の白い手を引き寄せ、自分の膝の上に乗せる。
「ありがとう。由貴子…。考えておくよ…」
…そのまま優しく抱き寄せて、唇を甘く重ねようとした刹那…。

玄関の呼び鈴が古めかしい音を立てて鳴った。

二人は同時に振り返る。
「…今頃、誰かな…」
…夜の10時を過ぎた時間だ。
「僕が出るよ」
ソファから立ち上がり、長い廊下を経て玄関に向かう。

旧式のアパルトマンゆえに、インターフォンはおろか覗き穴もない。
「どちら様ですか?」
北京語で尋ねる。
返答はない。
チェーンを付けたまま、ドアをゆっくりと開く。

…宮緒は絶句した。

「…久しぶりだな、真紘」
そこには兄、片岡直人が佇んでいた。







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