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第4章 上海ローズ

「…兄さん…。ど、どうされたのですか？」
驚き、慌てる宮緒を他所に、片岡は余裕に満ちた様子で玄関周りを見渡した。
「急に思い立って来てしまったよ。
九月にお前が日本に帰ってきた時、俺はシアトルで会えなかったからな。
ホテルの様子も気になったし…。
ああ、なかなか良い家じゃないか。
古めかしいがお前には合ってる。
手動のエレベーターは閉口したがな。
…どうした？誰か客でもいるのか？」
宮緒のただならぬ様子に首を傾げ、廊下の奥を覗き込もうとする。

「…あの、兄さん。こちらに来てください…！」
宮緒は急いで廊下の左奥にあるゲストルームに片岡をいざなった。