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星逢いの灯台守
第1章 名も知らぬ薔薇
「え?結婚⁈」
宮緒はナイフを取り落とさんばかりに驚いた。
「そんなに驚くほどのことか?
俺ももう26だ」
淡々とブルゴーニュ産の赤ワインを口に運びながら、片岡は端整な眉を跳ね上げた。


…宮緒の一人暮らしのマンションにほど近い神楽坂のビストロ…。
宮緒の大学入学祝いのディナーでのことだ。
片岡はいつも住まいに近い店で、会食を催してくれる。
地理にも流行りの店にも明るくない宮緒へのさりげない配慮に見えた。


片岡は大学卒業後、トマムの高級リゾートホテルに勤務していた。
ホテル経営について実地で学ぶ為にだ。
けれど入社した次の年には副支配人に抜擢されたほど、片岡は勘が鋭く頭が切れ、仕事が出来る男だった。

「たまには遊びに来い。冬はスキーのメッカだ。
勉強ばかりじゃモテないぞ。
…せっかく綺麗な貌をしているのに、眼鏡君じゃあな」
宮緒の地味なノンフレームの眼鏡をつっついて笑った。
「…いいんです。
僕は兄さんみたいに上手く女性と付き合えないし…興味もないですし…」
眼鏡を押し上げ、やや憮然として呟く。
受験勉強のし過ぎか、高等科に入学してから視力が落ち、眼鏡を掛けるようになった。

「本当に女に興味ないのか?…ああ、男子校だったからな。
大学は…最近東大も可愛い女の子が増えてきたらしいじゃないか。
いい子いないのか?」
「…いいんです。勉強とバイトに忙しくて、女の子なんて…」
片岡の父親からは学費も家賃も生活費も充分に振り込まれていた。
あくせくアルバイトをする必要はなかったが、父親の援助に出来るだけ甘えたくなかった。
だから、割りの良い家庭教師のアルバイトを掛け持ちしていたのだ。

「真紘は真面目だな。
大学生活は唯一の自由な時間じゃないか」
…俺は散々遊んだがな…と、肩を竦めて笑う片岡に遠慮勝ちに尋ねる。

「…あの…どんな人なんですか?
兄さんの奥さんになる人…って…」





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