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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
上海倶楽部はここ、外灘の歴史あるナイトクラブの中でも特に古き良き名門の店であった。

正式名称はウォールド・アストリア・上海オン・ザ・バンド。
1909年に建築されたネオ・ルネッサンス様式の荘厳な建物や意匠が特徴的に見事だ。

租界時代、黄浦江は物流の要であった。
その運河からよく見える川縁に世界各国企業が競うように立派な近代建物を建設し、その栄華を誇示したのだ。
その華やかな遺物として、この倶楽部は今も堂々と存在する。
かつて英国人専用の華やかなナイトクラブだった上海倶楽部は今では世界中の人々が集い、着飾り、夜の大人の街・上海をゴージャスに満喫するのだ。

格調高い店なので、ドレスコードは厳しい。
宮緒と片岡はブラックタイ、そしてタキシードの正装に着替え、倶楽部のロビーで由貴子を待った。

…タクシーに乗り、現れた由貴子に二人は…いや、その場にいた人々全員は一斉に眼を奪われた。

極上のシルクの緋色チャイナドレスには、金糸銀糸で華やかに薔薇模様が刺繍されている。
深く切り込んだスリットのあわいから見え隠れする白く美しい形の脚、折れそうなピンヒールはシャンパンゴールドカラーだ。
ノースリーブの腕は透き通るように白くほっそりとしていて、真珠色のストールをふわりと羽織っていた。

…艶やかな黒髪は綺麗にシニヨンに結われ、根元には真紅のチャイナローズが飾られている。
京雛のように典雅に整った貌には品良く化粧が施され、形の良い唇は艶やかに紅に染められていた。
白い耳朶には巻きの美しいピンクパールが一粒だけ揺れている…。

辺りを払うような気品と…そうして、すべての男を振り向かさずにはいられない匂い立つような芳しい色香を漂わせながら、由貴子は二人の方に静かに歩み寄る。

「…美しいひとだ…」
片岡が最大の賛辞を一言だけ漏らした。



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