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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
…朱浩藍は中国漢民族の正装の長袍姿に黒色のチャイナパンツ、黒い繻子の中国靴を履いていた。
長袍は古代紫の地に銀色の昇り龍の刺繍が美しく施されている見事なもので、朱の品のある繊細な…けれどどこか艶めいた美貌に良く似合っている。
長くつややかな黒髪は後ろにひとつに束ね、朱色の組紐で結び、背中に流しているのがまるで中国王朝のお伽話に出てくる美男の青年貴族のようであった。

「…朱先生…」
「最近、お元気がありませんね。
由貴子さん。
…何かお悩みがおありなのですか?」
流暢な日本語で話しかけながら、朱は由貴子に歩み寄る。

…朱浩藍は中国でも高名な水墨画家の父と、日本人の華道家の母を持つ日中のハーフであった。
中学卒業まで日本にいたという朱は日本語が巧みだ。
北京大学を卒業後、福建省で茶葉と茶芸を学び、上海で茶房を開いたという経歴の朱は、優雅で繊細な茶芸と優しく丁寧な教え方とともに、その京劇の女形のような雅やかな美貌でも人気を博していた。
今はフランス租界と南京路に茶房を出店しているが、茶芸の教師にと、あちらこちらの学校や茶館から引く手あまたらしい。
朱目当てで教室に通い詰める女性や…男性も絶えないようだ。

しかし本人は美しい柳のようにしなやかに、言い寄る男女を躱し、和かに微笑みながら上手くいなしている。
…常に真意が掴みにくい中国的な柔らかな…謎めいた微笑を浮かべ、上質な伽羅の薫りを漂わせながら…。





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