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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
「…まあ、奥様!どうなさいましたか?」
ミズ・李が目を丸くする。
ロビーの回転扉がくるりと回り足早に駆け込んで来たのは、唐紅色のロング丈のチャイナドレスを身に纏った由貴子であった。
由貴子とは何度か対面しているが、改めて見てもその辺りを払うような気品と美しさにはいつも一瞬、我を忘れて見惚れてしまう。
烏の濡れ羽色の黒髪はきちんと結い上げられ、薫りの良い小振りなチャイナローズが飾られている。
その真珠色の小さな貌は典雅に整い、切れ長の瞳や小さな鼻、形の良い唇とともに如何にも大和撫子然とした美しさに溢れていた。
仕事柄、中国人の美人は見慣れている李だが、由貴子を見ていると、同じアジア人でも日本美人は趣きが、全く異なるものなのだとしみじみと感じさせられるのだ。
大陸的な伸び伸びとした肢体や手足の作りの中国人と異なり、由貴子はやや小柄で身体つきも薄く華奢だ。
小振りな隆起を見せる胸元、折れそうにか細いウエスト、肉付きの薄いヒップラインはしかし美しい稜線を描いている。
まるで、少女のような身体に大人っぽいチャイナドレスはやや背徳めいた美を醸し出していた。
楚々とした表情や優美な所作もいかにも謙虚な美徳の日本人らしい儚げな美しさを表していた。
「…李さん。
あの…真紘さんはどちらにいらっしゃいますか?」
由貴子は珍しく息を切らして尋ねた。
ミズ・李が目を丸くする。
ロビーの回転扉がくるりと回り足早に駆け込んで来たのは、唐紅色のロング丈のチャイナドレスを身に纏った由貴子であった。
由貴子とは何度か対面しているが、改めて見てもその辺りを払うような気品と美しさにはいつも一瞬、我を忘れて見惚れてしまう。
烏の濡れ羽色の黒髪はきちんと結い上げられ、薫りの良い小振りなチャイナローズが飾られている。
その真珠色の小さな貌は典雅に整い、切れ長の瞳や小さな鼻、形の良い唇とともに如何にも大和撫子然とした美しさに溢れていた。
仕事柄、中国人の美人は見慣れている李だが、由貴子を見ていると、同じアジア人でも日本美人は趣きが、全く異なるものなのだとしみじみと感じさせられるのだ。
大陸的な伸び伸びとした肢体や手足の作りの中国人と異なり、由貴子はやや小柄で身体つきも薄く華奢だ。
小振りな隆起を見せる胸元、折れそうにか細いウエスト、肉付きの薄いヒップラインはしかし美しい稜線を描いている。
まるで、少女のような身体に大人っぽいチャイナドレスはやや背徳めいた美を醸し出していた。
楚々とした表情や優美な所作もいかにも謙虚な美徳の日本人らしい儚げな美しさを表していた。
「…李さん。
あの…真紘さんはどちらにいらっしゃいますか?」
由貴子は珍しく息を切らして尋ねた。