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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
…東棟の廊下は果てしなく長かった。
まるで迷宮のようにくねくねと曲がっている廊下を由貴子は走った。
このホテルは大戦前に建てられたので、クーデターが起きた場合、ゲリラや暴漢に簡単に占拠されないように曲がりくねった構造なのだと、かつて宮緒に聞いたことがあった。
ピンヒールの靴は直ぐに絨毯に取られ、転びそうになる。
由貴子は迷わずヒールを脱ぎ捨て、片手に持ちながら裸足で走った。
漸く突き当たり奥の会議室に辿り着く。
乱れた呼吸を大きく息を吸い、整える。
結い上げた髪が乱れ、前髪が額に落ちかかっていた。
けれどそんなことを気にしてはいられない。
由貴子は会議室の真鍮のドアノブを回し、重厚な扉を押し開ける。
そうして、会議室に飛び込むと叫んだ。
「真紘さん…!」
まるで迷宮のようにくねくねと曲がっている廊下を由貴子は走った。
このホテルは大戦前に建てられたので、クーデターが起きた場合、ゲリラや暴漢に簡単に占拠されないように曲がりくねった構造なのだと、かつて宮緒に聞いたことがあった。
ピンヒールの靴は直ぐに絨毯に取られ、転びそうになる。
由貴子は迷わずヒールを脱ぎ捨て、片手に持ちながら裸足で走った。
漸く突き当たり奥の会議室に辿り着く。
乱れた呼吸を大きく息を吸い、整える。
結い上げた髪が乱れ、前髪が額に落ちかかっていた。
けれどそんなことを気にしてはいられない。
由貴子は会議室の真鍮のドアノブを回し、重厚な扉を押し開ける。
そうして、会議室に飛び込むと叫んだ。
「真紘さん…!」