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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
「真紘さん…!」
由貴子の美しい声が聞こえたような気がして、宮緒は思わず議事録から眼を上げた。
「…由貴子…」
…由貴子が魔法のように、そこに存在していた。
会議室が一瞬、騒めく。
しかしすぐに皆が押し黙ったのは、由貴子の息を呑むような婉然とした…凄絶とも言える美しさゆえだろう。
唐紅色のチャイナドレス姿の由貴子は裸足だった。
その白くほっそりした手にプラチナ色に輝くピンヒールを持っていた。
常に身嗜みの良い礼儀正しく淑やかな由貴子には有り得ない姿と行為だった。
いつもきちんと結い上げられている美しい髪はやや乱れ、白い額に落ちかかっていた。
…それなのに、魂を奪われるほどに優美で艶めいてきらきらと輝くほどに彼女は美しかったのだ。
「由貴子…。どうして…」
宮緒は立ち上がる。
紫檀の長テーブルの上座に座るニースから昨日帰国したばかりの黄は興味深げに由貴子に眼を細めた。
「…これはなんと…!
実にお美しいご婦人だ。
まさに東洋の真珠…!
ミスター・ミヤオの奥方かな?」
宮緒が答える前に、由貴子が優雅に膝を折りしなやかに一礼した。
「申し訳ございません。
数々のご無礼をどうかお許しください。
そして、どうか私に少しだけお時間をください」
黄は愉しげに手を広げた。
「どうぞごゆるりと。
我々には時間はあり余るほどある」
由貴子の美しい声が聞こえたような気がして、宮緒は思わず議事録から眼を上げた。
「…由貴子…」
…由貴子が魔法のように、そこに存在していた。
会議室が一瞬、騒めく。
しかしすぐに皆が押し黙ったのは、由貴子の息を呑むような婉然とした…凄絶とも言える美しさゆえだろう。
唐紅色のチャイナドレス姿の由貴子は裸足だった。
その白くほっそりした手にプラチナ色に輝くピンヒールを持っていた。
常に身嗜みの良い礼儀正しく淑やかな由貴子には有り得ない姿と行為だった。
いつもきちんと結い上げられている美しい髪はやや乱れ、白い額に落ちかかっていた。
…それなのに、魂を奪われるほどに優美で艶めいてきらきらと輝くほどに彼女は美しかったのだ。
「由貴子…。どうして…」
宮緒は立ち上がる。
紫檀の長テーブルの上座に座るニースから昨日帰国したばかりの黄は興味深げに由貴子に眼を細めた。
「…これはなんと…!
実にお美しいご婦人だ。
まさに東洋の真珠…!
ミスター・ミヤオの奥方かな?」
宮緒が答える前に、由貴子が優雅に膝を折りしなやかに一礼した。
「申し訳ございません。
数々のご無礼をどうかお許しください。
そして、どうか私に少しだけお時間をください」
黄は愉しげに手を広げた。
「どうぞごゆるりと。
我々には時間はあり余るほどある」