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星逢いの灯台守
第4章 上海ローズ
由貴子がその夜の湖のように黒く濡れた瞳で宮緒を見つめた。
「真紘さん。愛しています。
私は貴方がいないと生きてはいけません。
貴方は私に人生の煌めきをくださいました。
…こんな大事なことを私は愚かにも気づかないでいました。
私は貴方とずっと生きていきたいのです。
…だから…すべてのことを私と一緒に乗り越えていただけますか?」

宮緒は引き寄せられるように由貴子に歩み寄る。
「僕の方こそ…。
貴女を愛しています。
貴女と出逢う前の僕が今では想像できないくらいに…。
僕の心は貴女の虜だ。
…乗り越えてゆこう…。
一緒に…何もかも…二人で…」
「…真紘さん…」
由貴子の練絹のように白くきめ細やかな頰にそっと手を触れる。
「…愛しているよ…。
貴女は僕の生きる希望だ…」
「…真紘さん…」
指先に由貴子の温かな透明な涙の雫が触れる。
そのまま自然に引き寄せ、優しく…けれどしっかりと己れの胸深く最愛のひとを抱き締める。
…白檀の芳しくも愛おしい薫りとともに強く掻き抱く。

「真了不起!」
黄が立ち上がり歓声を上げた。
「素晴らしい!チュンリャンプッシー!」
高らかに拍手をしながら上機嫌で叫んだ。
「日本人は感情を露わにしないかと思っていたが、違うのだね。
クールなミヤオが、こんなに情熱的になるとは思いもよらぬことだったよ。
しかも美しい男女が熱く愛を語らうさまは実に眼福だ。
…私も遠い昔を思い出したよ。
…昔々の話だ…。
亡き妻に、一世一代のプロポーズをした日をね…」
…懐かしい…。
そうしみじみと呟いた。

…二人は額を寄せ合い見つめ合うと、恥ずかしそうに小さく微笑い…そっと合わせるだけの愛らしい口づけをした。

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