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星逢いの灯台守
第1章 名も知らぬ薔薇
「私に気を遣うことはないのよ。
正直に言って」
「知りません」
短く答え、勇気を振り絞って問いかける。
「…あの、麻季子さんはなぜ兄さ…片岡さんのところに行かないのですか?」
…ずっと気に掛かっていたことだ。

「麻季子さんが片岡さんのそばにいれば、もし仮に浮気をしているとしても、それが抑えられると思いませんか?
…というか、夫婦なら…結婚したのなら、そばにいたほうが良いのではないですか?
一緒にいることで片岡さんをもっと知ることができるかも知れません…」

…麻季子には兄のことを知って欲しかった。
冷ややかで端正な貌に隠されたさりげない優しさ…温かさ…。

…『君は自由に生きて行っていいんだ』

自分の枷をいとも簡単に外してくれた大きな心…。
それを麻季子にも知って欲しかったのだ。

険のある眼差しが不意に凄味を増し、宮緒を睨みつけるように見遣る。

「夫婦なら…?よくそんなことが言えるわね。
…私たちのことを何も知らないくせに…!」
「…え?」

麻季子が立ち上がり、つかつかと宮緒の前に近寄る。
美しい唇には冷笑が浮かんでいた。
「…知りたいみたいだから教えてあげる。
私たち、夫婦関係は一度だけ。
新婚旅行の初夜だけだったわ。
それからは一度もなし」
「…⁈…」
赤裸々な告白に絶句する。

麻季子は一気に捲し立てる。
「あのひとは私をもう抱く気はないの。
はっきり言われたわ。
『…俺たちの結婚は打算だけで成り立っている。
俺は君の実家の後ろ盾、君は俺という理想的な夫というアクセサリー。
…それで充分じゃないか。
君が俺の金で何を買おうと構わないし、君のしたいことをしていい。
愛人を作るなら作れ。
君の友人たちには理想的な良き夫を演じて、羨ましがらせよう。
君の自尊心も虚栄心もすべて満たしてやる。
その代わり、俺は金輪際君を抱く気はない。
…俺にも女の好みはあるんでね』…て…!
…そう言ってあのひとは…冷たく笑ったのよ…!」

不意に麻季子が走り出す。
…傍らのテーブルの上には、先ほどの家政婦が用意していったアフタヌーンティーの皿の数々があった。
麻季子はそれら高級茶器を白い麻のテーブルクロスごと引き払い、石畳みに叩きつける。

激しい音と共に陶器が粉々に砕け散った。
思わず走り寄り叫ぶ。
「麻季子さん…!」


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