この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
星逢いの灯台守
第5章 星逢いの灯台守
けれど尋ねずにはいられなかった。
由貴子が、この男の元に嫁いでしまうという事実をまだ受け入れられないでいたからだ。
柊司は由貴子はこのままずっとあの本郷の家で独り身を貫き、茶道の教室を主宰しつつ静かに禁欲的に生きて行くと信じていたのだ。
…それが、八つも歳下の…澄佳と因縁の深い男と再婚だなんて…。
青天の霹靂とはまさにこのことだ。
とてもではないが、にこやかに祝福する心境にはなれなかった。
自分勝手な話だが、由貴子が誰かほかの男のものになるなど、一度も考えたことはなかった。
自分に恋心を抱いてくれていた由貴子は、もう他の男に恋することはなく、清らかな心と身体のまま歳を重ねてゆくものと信じていたのだ。
…清らかな心と身体…。
そうだ。
自分は嫉妬しているのだ。
由貴子のこの美しい身体を支配し我がものにした男に、激しく嫉妬しているのだ。
理不尽とも言える遣り切れないほどのどろどろとした妬心を…。
この男に感じずにはいられないのだ。
厳しい質問をする柊司を哀しげな眼差しで見上げる由貴子を見つめ、柊司は下劣な想いを抱く。
由貴子は眼を奪われるほどに美しく…更に麗しく匂い立つような色香を漂わせ、存在していた。
…由貴子は、この男に何度抱かれたのだろうか…。
上海に渡り、同棲までしているのだ。
数えきれないほどに、身体を交わし合っているに違いない。
…由貴子のこの内側から照り映えるような艶と輝きと美しさは、この男によって齎されたものなのだ。
男によりその身体を熟成され、女盛りの身体を美しく妖しく開花させられた由貴子…。
…義母と息子という倫理観により、その身体に触れることができなかった柊司は、忸怩たる想いを噛み締める。
それを見せつけられると、柊司の心はもの狂おしく荒れ果て…由貴子の隣に当然のように寄り添う男を、腹立たしく思ってしまうことを止めることができないのだ。
…自分の浅ましさ、身勝手さ、醜さに柊司は深い嫌悪感に囚われ、口を噤んだ。
由貴子が、この男の元に嫁いでしまうという事実をまだ受け入れられないでいたからだ。
柊司は由貴子はこのままずっとあの本郷の家で独り身を貫き、茶道の教室を主宰しつつ静かに禁欲的に生きて行くと信じていたのだ。
…それが、八つも歳下の…澄佳と因縁の深い男と再婚だなんて…。
青天の霹靂とはまさにこのことだ。
とてもではないが、にこやかに祝福する心境にはなれなかった。
自分勝手な話だが、由貴子が誰かほかの男のものになるなど、一度も考えたことはなかった。
自分に恋心を抱いてくれていた由貴子は、もう他の男に恋することはなく、清らかな心と身体のまま歳を重ねてゆくものと信じていたのだ。
…清らかな心と身体…。
そうだ。
自分は嫉妬しているのだ。
由貴子のこの美しい身体を支配し我がものにした男に、激しく嫉妬しているのだ。
理不尽とも言える遣り切れないほどのどろどろとした妬心を…。
この男に感じずにはいられないのだ。
厳しい質問をする柊司を哀しげな眼差しで見上げる由貴子を見つめ、柊司は下劣な想いを抱く。
由貴子は眼を奪われるほどに美しく…更に麗しく匂い立つような色香を漂わせ、存在していた。
…由貴子は、この男に何度抱かれたのだろうか…。
上海に渡り、同棲までしているのだ。
数えきれないほどに、身体を交わし合っているに違いない。
…由貴子のこの内側から照り映えるような艶と輝きと美しさは、この男によって齎されたものなのだ。
男によりその身体を熟成され、女盛りの身体を美しく妖しく開花させられた由貴子…。
…義母と息子という倫理観により、その身体に触れることができなかった柊司は、忸怩たる想いを噛み締める。
それを見せつけられると、柊司の心はもの狂おしく荒れ果て…由貴子の隣に当然のように寄り添う男を、腹立たしく思ってしまうことを止めることができないのだ。
…自分の浅ましさ、身勝手さ、醜さに柊司は深い嫌悪感に囚われ、口を噤んだ。