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星逢いの灯台守
第5章 星逢いの灯台守
やがて宮緒は、柊司の言葉に少しも気分を害した様子もなく、穏やかに口を開いた。
「…柊司さんのご心配なお気持ちはよく分かります。
私は、確かに貴方のように豊かな資産や名声や地位は持ち得てはおりません。
私と結婚したことで、由貴子さんの今までの経歴に傷を付けてしまうことがあるかもしれません。
…けれど、私以上に由貴子さんを愛する男はいないでしょう。
由貴子さんを幸せにする為に全力を尽くします。
…瑠璃子ちゃんには私のことを信頼していただけるように、精一杯努力します。
私は由貴子さんとの間の子どもは望んではおりません。
由貴子さんのお子さんは瑠璃子ちゃんただ一人です。
その瑠璃子ちゃんにも幸せになっていただくこと…。
それも私の人生の大切な使命と考えております」

宮緒は眼鏡越しのその端正な瞳をひたりと柊司にあて、一言一言真摯に語りかけてきた。

「…真紘さん…」
由貴子の潤んだ美しい瞳が、宮緒を見上げ二人は見つめ合う。
…それは紛うことない一途に愛しい男を恋い慕う女の眼差しであった。

そして、二人の間には濃密な…誰にも入り込めない愛の空気だけが漂っていたのだ。
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