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星逢いの灯台守
第5章 星逢いの灯台守
柊司は店の前の石畳みの階段をゆっくり降りた。
…初冬の夕凪の潮風が、ひやりと頰を撫でる。
やや湿り気を含んだ冷たい風が柊司の心を少しずつ落ち着かせてゆく。
眼の前に広がる内房の海は穏やかに凪いで茜色の夕焼け空をゆっくりと映し、染めつつあった。
黙って眺めている柊司の背後から、静かに砂を踏む足音が聞こえた。
ついで幽かに漂う白檀の薫り…
「…綺麗な景色ね…」
…由貴子が可憐な白い花のような密やかな微笑みを浮かべ、佇んでいた。
「…母様…」