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星逢いの灯台守
第5章 星逢いの灯台守
「…でも?」
不思議そうに長い睫毛を瞬きしながら由貴子が柊司を見た。
「…でも、曽祖母からしたらエリスさんは恋のライバルでしょう?
曽祖母より前に出会って二人は恋をして…本当は結婚したかったけれど時代と状況が許さずに別れて…。
二人は愛し合っていたのに…。
…つまり、曽祖母は曽祖父の二番目に好きなひと…もしくは、愛するひとと結ばれることができなくて、仕方なく結婚したひとなわけですよね。
…その哀しい恋仇のひとが好きだった花をどんな気持ちで丹精込めて育てたのかな…て。
…僕はずっと疑問だったんです」
柊司の話を最後まで静かに聴き入り、由貴子はそっと口を開いた。
「…ひいお祖父様はひいお祖母様を本当に愛していらっしゃらなかったのかしら…?」
「…さあ…それは…」
思わず口籠る。
「…夫婦仲は、とても良かった…と父はうっすら覚えているみたいですけど…」
由貴子が芙蓉の花がふわりと開くように微笑んだ。
…思わずその美しい笑顔に見惚れる。
「そうでしょうね。
…私、ひいお祖父様はひいお祖母様を愛していらしたのだと思うわ。
そうでなければ、ひいお祖母様はリラの花を大切にはされないと思うの。
…今、愛されていてお幸せだから…かつて別れなくてはならなかったひいお祖父様のために…それから異国の恋人の為に…そのリラの花を大切に育てられたのではないかしら…」
由貴子がゆっくりとリラの花壇に近づく。
美しく結い上げた髪に結ばれた薄桃色のリボンがひらりと揺れた。
「…ひいお祖母様は、お幸せだったのよ。
二番目とかそんなことは関係ないくらいに、ひいお祖父様に愛されていらしたのよ。
だからお優しいお気持ちで、こんなに美しい花を育てられたのだわ…」
白い指先がそっとリラの花に触れた。
…リラの花は、遠い遠い昔のそれぞれの美しい恋の形代のように、静かに揺れて優しいその薫りを辺りに漂わせた…。
不思議そうに長い睫毛を瞬きしながら由貴子が柊司を見た。
「…でも、曽祖母からしたらエリスさんは恋のライバルでしょう?
曽祖母より前に出会って二人は恋をして…本当は結婚したかったけれど時代と状況が許さずに別れて…。
二人は愛し合っていたのに…。
…つまり、曽祖母は曽祖父の二番目に好きなひと…もしくは、愛するひとと結ばれることができなくて、仕方なく結婚したひとなわけですよね。
…その哀しい恋仇のひとが好きだった花をどんな気持ちで丹精込めて育てたのかな…て。
…僕はずっと疑問だったんです」
柊司の話を最後まで静かに聴き入り、由貴子はそっと口を開いた。
「…ひいお祖父様はひいお祖母様を本当に愛していらっしゃらなかったのかしら…?」
「…さあ…それは…」
思わず口籠る。
「…夫婦仲は、とても良かった…と父はうっすら覚えているみたいですけど…」
由貴子が芙蓉の花がふわりと開くように微笑んだ。
…思わずその美しい笑顔に見惚れる。
「そうでしょうね。
…私、ひいお祖父様はひいお祖母様を愛していらしたのだと思うわ。
そうでなければ、ひいお祖母様はリラの花を大切にはされないと思うの。
…今、愛されていてお幸せだから…かつて別れなくてはならなかったひいお祖父様のために…それから異国の恋人の為に…そのリラの花を大切に育てられたのではないかしら…」
由貴子がゆっくりとリラの花壇に近づく。
美しく結い上げた髪に結ばれた薄桃色のリボンがひらりと揺れた。
「…ひいお祖母様は、お幸せだったのよ。
二番目とかそんなことは関係ないくらいに、ひいお祖父様に愛されていらしたのよ。
だからお優しいお気持ちで、こんなに美しい花を育てられたのだわ…」
白い指先がそっとリラの花に触れた。
…リラの花は、遠い遠い昔のそれぞれの美しい恋の形代のように、静かに揺れて優しいその薫りを辺りに漂わせた…。