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星逢いの灯台守
第5章 星逢いの灯台守
「…なあに?何を笑っていらっしゃるの?」
由貴子が宮緒を振り仰ぐ。
澄佳が教えてくれたように、今夜は満月だった。
満ち足りた月の光が、由貴子の高貴な美貌を嫋嫋と輝かせていた。
…輝夜姫みたいだな…。
ぼんやりと思う。
宮緒と二人きりになった由貴子は、甘えることを隠そうともしない。
その手をしっかりと絡ませて、ぎゅっと握りしめてくる。
…そんなところが狂おしいほどに愛おしい。
「瑠璃子ちゃんのことだよ。
…どうやら本気の恋をしているらしい。
叶うといいな…てね」
…二十歳ほど歳上の男らしい。
宮緒と由貴子の逆のパターンだな…と思いつつ、母親である由貴子を安心させるために続けた。
「とても良いひとらしいよ。
…瑠璃子ちゃんのことを全く相手にしないって。
きっと、瑠璃子ちゃんを大切にしているんだろうな…」
「…そう…」
ふと美しい女の貌が母になる。
「そうね…。瑠璃子には普通の恋愛をしてほしい気がするけれど…でも、恋に落ちてしまったら仕方ないものね」
悪戯めいた笑みが艶かしい。
「…由貴子…」
「…私と亡くなった主人はとても歳が離れていたけれど、幸せだったわ。
主人に守られて、愛されて、瑠璃子が生まれて…とても幸せだった。
…私は今でも主人に感謝しているの…」
…こんなことを、貴方に話す私は無神経かしら?
と、少し心配そうに美しい眉を寄せる。
「…いいや。ちっとも。
僕は君が幸せだったと聞くとほっとする。
…それに…これからは僕が君を幸せにするからね」
「…真紘さん…」
由貴子の涙に潤んだ瞳が瞬き、夜空の星を清らに映す。
その星の瞬きに見惚れながら、宮緒はふとあることを思い出していた。
由貴子を抱きしめ、その清らな白い額にそっとキスを落とす。
砂浜に並んで座り、静かに口を開く。
「…昔、母に聞いたことがある」
「なあに?」
「…この地に伝わる遠い昔話…星逢いの灯台守の話だ…」
由貴子が宮緒を振り仰ぐ。
澄佳が教えてくれたように、今夜は満月だった。
満ち足りた月の光が、由貴子の高貴な美貌を嫋嫋と輝かせていた。
…輝夜姫みたいだな…。
ぼんやりと思う。
宮緒と二人きりになった由貴子は、甘えることを隠そうともしない。
その手をしっかりと絡ませて、ぎゅっと握りしめてくる。
…そんなところが狂おしいほどに愛おしい。
「瑠璃子ちゃんのことだよ。
…どうやら本気の恋をしているらしい。
叶うといいな…てね」
…二十歳ほど歳上の男らしい。
宮緒と由貴子の逆のパターンだな…と思いつつ、母親である由貴子を安心させるために続けた。
「とても良いひとらしいよ。
…瑠璃子ちゃんのことを全く相手にしないって。
きっと、瑠璃子ちゃんを大切にしているんだろうな…」
「…そう…」
ふと美しい女の貌が母になる。
「そうね…。瑠璃子には普通の恋愛をしてほしい気がするけれど…でも、恋に落ちてしまったら仕方ないものね」
悪戯めいた笑みが艶かしい。
「…由貴子…」
「…私と亡くなった主人はとても歳が離れていたけれど、幸せだったわ。
主人に守られて、愛されて、瑠璃子が生まれて…とても幸せだった。
…私は今でも主人に感謝しているの…」
…こんなことを、貴方に話す私は無神経かしら?
と、少し心配そうに美しい眉を寄せる。
「…いいや。ちっとも。
僕は君が幸せだったと聞くとほっとする。
…それに…これからは僕が君を幸せにするからね」
「…真紘さん…」
由貴子の涙に潤んだ瞳が瞬き、夜空の星を清らに映す。
その星の瞬きに見惚れながら、宮緒はふとあることを思い出していた。
由貴子を抱きしめ、その清らな白い額にそっとキスを落とす。
砂浜に並んで座り、静かに口を開く。
「…昔、母に聞いたことがある」
「なあに?」
「…この地に伝わる遠い昔話…星逢いの灯台守の話だ…」