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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
…澄佳の店は直ぐに見つかった。
宮緒が昔住んでいた集落の隣町であった。

こじんまりとした古びた…けれど清潔感の漂う懐かしい匂いのする定食屋…。
「紫陽花食堂」
小さな木製の看板が風にゆれていた。

…ここに澄佳さんは住んでいたのか…。
店先に立ち、見上げる。

二階建ての古めかしい家屋…。
一階部分が店らしい。

佇んでいると、店の扉が静かに開いた。
中から貌を覗かせたのは七十半ばほどの小柄な老婆だ。
老いてもその貌立ちにどことなく品格が感じられた。
老婆は宮緒を見ると驚いた風もなく頭を下げた。
宮緒も深々と一礼をする。

「…入ってください。澄佳のことですやろ?」
老婆…澄佳の祖母は察したかのように、落ち着いて告げた。
「はい。
…お邪魔いたします」
もう一度、頭を下げた宮緒を老婆はじっと見上げた。

「…あんた…千鶴ちゃんの息子さんやね…」
宮緒は絶句した。
「…千鶴ちゃんに、よう似てるわ…」
老婆は、優しく微笑った。

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