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第2章 忘れ得ぬひと

「…母を、ご存知なのですか？」
「ええ。
…千鶴ちゃんのお母さん…あんたのおばあちゃんやな…そのおばあちゃんとあたしは中学校の同級生やったんよ」
店のテーブルに向き合い、澄佳の祖母は宮緒に冷たい麦茶を勧めながら穏やかに笑った。
「…そうでしたか…」
「あんたのおばあちゃんも若くして亡くなったけど…千鶴ちゃんもなあ…。
…えらい急に…ほんまに残念やったなあ…。
うちがいきなりお葬式に行くのも、あんたになんや気ぃ遣わせたら…て思うて、行かんかったのよ。
不義理して、すんませんでしたなあ…」
しみじみとお悔やみを言われ、胸の中がじんわりと温かくなる。

「…いいえ。そんなことは…。
…ありがとうございます…」
温かな雰囲気と優しさに、澄佳の面影を感じた。