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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
「…そうでしたか…」
宮緒の説明を聞き、祖母は小さく息を吐いた。
「…社長を庇いだてするつもりはありません。
けれど、社長は澄佳さんに本気です。
決していい加減な気持ちで澄佳さんを連れて行った訳ではありません。
澄佳さんを必ず幸せにすると申しておりました。
…どうかご心配なさらずに、社長に澄佳さんをお任せいただけませんでしょうか?」
誠意を込めて頭を下げる。
ややあって澄佳の祖母が口を開いた。
「…澄佳からも今朝も電話があったんよ。
おばあちゃんに心配かけてるのは分かるけど、自分は片岡さんが好きや…て。
好きで好きでどうしようもない…て。絶対に離れたくないんや…て。
…おばあちゃん、堪忍な…言うて泣いとったんよ」
…そうだろうと理解しながらも、ちくりと胸が痛んだ。
「…はい」
「…澄佳も高校生の時に列車事故で両親を亡くしてなあ…。
私と暮らすようになったんやけど、辛抱強い子でね…。
わがままを言うたことは一度もないんよ。
大学行きて勧めたんやけど、おばあちゃんの店、早く手伝いたい言うて、専門学校行って…あとはずっとあたしのこと支えてくれたんよ。
…ほんまに優しいええ子なんです」
老婆の皺が刻まれた眼に涙が浮かぶ。
「…せやからね、宮緒さん。
あたしは澄佳に誰よりも幸せになって欲しいんです。
…片岡の若旦那は結婚しておられますやろ?
奥様は東京のお金持ちのお嬢さんやて聞いてます。
けれど、澄佳はそのこと知らんようでした」
老婆の優しげな眼がきらりと光り、宮緒を捉えた。
宮緒の説明を聞き、祖母は小さく息を吐いた。
「…社長を庇いだてするつもりはありません。
けれど、社長は澄佳さんに本気です。
決していい加減な気持ちで澄佳さんを連れて行った訳ではありません。
澄佳さんを必ず幸せにすると申しておりました。
…どうかご心配なさらずに、社長に澄佳さんをお任せいただけませんでしょうか?」
誠意を込めて頭を下げる。
ややあって澄佳の祖母が口を開いた。
「…澄佳からも今朝も電話があったんよ。
おばあちゃんに心配かけてるのは分かるけど、自分は片岡さんが好きや…て。
好きで好きでどうしようもない…て。絶対に離れたくないんや…て。
…おばあちゃん、堪忍な…言うて泣いとったんよ」
…そうだろうと理解しながらも、ちくりと胸が痛んだ。
「…はい」
「…澄佳も高校生の時に列車事故で両親を亡くしてなあ…。
私と暮らすようになったんやけど、辛抱強い子でね…。
わがままを言うたことは一度もないんよ。
大学行きて勧めたんやけど、おばあちゃんの店、早く手伝いたい言うて、専門学校行って…あとはずっとあたしのこと支えてくれたんよ。
…ほんまに優しいええ子なんです」
老婆の皺が刻まれた眼に涙が浮かぶ。
「…せやからね、宮緒さん。
あたしは澄佳に誰よりも幸せになって欲しいんです。
…片岡の若旦那は結婚しておられますやろ?
奥様は東京のお金持ちのお嬢さんやて聞いてます。
けれど、澄佳はそのこと知らんようでした」
老婆の優しげな眼がきらりと光り、宮緒を捉えた。