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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
「…私は片岡さんが結婚されてること、とうとう澄佳に言えんかった。
あの子はすっかり片岡さんを愛して…信じていたから…それを壊すようなこと…言えんかったんよ…」
力なく肩を落とす老婆に、宮緒は思わず身を乗り出す。
「社長は然るべき時にそのことを話すつもりだと思います。
決して澄佳さんを悲しませるようなことはしません。
私がお約束いたします」
…兄はこうと決めたらそれを貫くひとだ。
確かに女遊びは派手だが、その誰からとも揉めたりトラブルになったことはない。
兄は決して女たちをないがしろにしたり酷く扱うひとではないからだ。
澄佳に対しては、今までになく本気であることも分かっていた。
兄が自分のマンションに女性を住まわせることなどかつてなかったことだからだ。
澄佳は兄にとって特別な存在なのだ。
老婆はじっと宮緒を見上げ、懇願するように手を取った。
「…約束してくれるん?
澄佳がもし悲しんだり苦しんだりした時は、宮緒さんが力になってくれる…と」
皺だらけの小さな手を強く握りしめる。
「はい。お約束します。
私が澄佳さんをお守りします」
…兄がもし、あの美しいひとを泣かせたら…その時は自分が全力で守ろう…。
…なぜなら…。
…その先に浮かんだ言葉を、宮緒はそっと胸の奥深くにしまい込んだ。
あの子はすっかり片岡さんを愛して…信じていたから…それを壊すようなこと…言えんかったんよ…」
力なく肩を落とす老婆に、宮緒は思わず身を乗り出す。
「社長は然るべき時にそのことを話すつもりだと思います。
決して澄佳さんを悲しませるようなことはしません。
私がお約束いたします」
…兄はこうと決めたらそれを貫くひとだ。
確かに女遊びは派手だが、その誰からとも揉めたりトラブルになったことはない。
兄は決して女たちをないがしろにしたり酷く扱うひとではないからだ。
澄佳に対しては、今までになく本気であることも分かっていた。
兄が自分のマンションに女性を住まわせることなどかつてなかったことだからだ。
澄佳は兄にとって特別な存在なのだ。
老婆はじっと宮緒を見上げ、懇願するように手を取った。
「…約束してくれるん?
澄佳がもし悲しんだり苦しんだりした時は、宮緒さんが力になってくれる…と」
皺だらけの小さな手を強く握りしめる。
「はい。お約束します。
私が澄佳さんをお守りします」
…兄がもし、あの美しいひとを泣かせたら…その時は自分が全力で守ろう…。
…なぜなら…。
…その先に浮かんだ言葉を、宮緒はそっと胸の奥深くにしまい込んだ。