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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
…歳月は瞬く間に過ぎていった。
宮緒の危惧を他所に、澄佳と片岡は甘い蜜月の日々を送っていた。

「正式なフレンチ料理を勉強したいから、学校に入り直したかったんだけれど、片岡さんが男性がいる学校は駄目だ…て。
だからコルドンブルーを教えてくれる小規模なお料理教室に通っているの」

時折自宅に様子を見に行く宮緒に、澄佳は困ったように笑いながら…それでも幸せそうであった。

「…そうですか。
社長は澄佳さんのことがご心配なのでしょうね。
悪い虫がつかないように。
澄佳さんは本当にお美しいですから…」
「いやだわ。宮緒さんたら…揶揄わないで…」
白い頬を染めて、恥ずかしがる姿が初々しい。
…可愛いひとだな…。
最近の澄佳は会うたびに美しく艶やかに洗練されてゆき、その様は思わず感動のため息が出るほどであった。

「イブにね、本格的なクリスマスディナーを作るつもりだったの。
でも、片岡さんはイブは仕事で軽井沢なんですってね。
だから25日にお祝いすることにしたの。
イブもお仕事なんて、大変ね」
無邪気に労わる澄佳に一瞬、息を詰めた。

「…そうですか…」
…24日に仕事のスケジュールは入ってはいなかった筈だ。
恐らくは、麻季子の関係の用事があるのだろう。
そのことに勘付きつつも、知らないふりをすることしか出来ない。

「…社長もきっと楽しみにされていますよ。
良いクリスマスを…」
澄佳は嬉しそうに笑い頷いた。

…この無垢な笑顔が続きますように…。
宮緒はそう願わずにはいられなかった。



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